安全で快適な抱っこ紐の基本姿勢
1 高い位置
大人のおへそを目安に、高い位置に赤ちゃんを抱っこすると重心が上がり、大人の負担が軽減します。
2 M字開脚姿勢
膝の位置がお尻よりも高い「M」の開脚姿勢は股関節の健全な発育を促します。大人の身体を脚で挟んでしがみつくような姿勢で、抱っこ紐に座らせます。
3 ぴったり密着
赤ちゃんと大人がぴったり密着していますか?密着が足りないと、赤ちゃんの背中が丸まり過ぎることによる窒息のリスクや、落下のリスクが高まることがあります。
4 手は上に
手が上に向くと、赤ちゃんの姿勢が安定します。手と手、手と口のふれあいは身体の探求にも。
5お顔が見える
抱っこ紐の中に埋もれてしまうと、呼吸を妨げてしまうことがあります。赤ちゃんの顔は覆わずに、様子が確認できるようにしましょう。
ベビーウェアリングがもたらす効果
- 赤ちゃんの股関節の正常な発達を妨げない
- 背中のゆるやかなカーブで呼吸がしやすい
- 密着していて顔が見えるため、赤ちゃんの変化に気づきやすい
- 赤ちゃんと重心がひとつになり大人の負担が軽減される
ベビーウェアリングされている赤ちゃんは、抱っこ紐の中で、リラックスすることも、自分でバランスをコントロールすることもできます。無駄な力を抜いてリラックスすることや、体幹をコントロールしてバランスをとることは、赤ちゃんの発達を促す刺激となり、人間に備わる「しがみつく力」や「しなやかな身体の動かし方」の習得につながります。生後間も無い赤ちゃんは重力の中でバランスが取れずに不安定ですが、産まれたばかりの赤ちゃんでもベビーウェアリングをされている間は安定しリラックスすることができます。
赤ちゃんが落ち着いている時間が増えれば、親の育児負担の軽減と子育ての自信に繋がります。もちろん、抱っこやおんぶは父親や母親だけのものではなく、子育てをサポートしてくれる人に任せることもできます。また、産前と同じように、抱っこやおんぶをしながら自分の趣味や活動を続けられることは、自分らしい子育てや生き方にも繋がります。
赤ちゃんは抱っこが大好き
赤ちゃんは生後、子宮の中との急激な環境変化に対応しています。抱っこされている時には、これまで慣れ親しんだ温もりと柔らかさ、呼吸と心音、そして心地よい揺れを感じて落ち着くことができます。
また、人間は授乳と抱っこで育つ哺乳類です。哺乳類の中には、ネコや馬のように抱っこをしない動物もいますが、動物行動学では人間はさるやチンパンジーと同じ授抱性という分類と考えます。さるやチンパンジーの親は、一日中赤ちゃんをぴったりと密着させて抱き、どこへ行くにも一緒です。未熟な赤ちゃんを守り、育てるために生物的な本能が備わっているのです。
人間の赤ちゃんはどうでしょう?やっと眠ってくれた。と、ベッドに寝かせようとすると泣き、再び抱きあげれば落ち着いて眠る赤ちゃんをみたことがありませんか。世界中、どこの国の赤ちゃんにも共通して見られる現象です。人間の赤ちゃんは安心できる抱っこが大好きです。日本では「抱き癖」を気にすることがありますが、そもそも親と離れる不安で赤ちゃんが泣くのは本能的な欲求なので、癖がつくことを心配する必要はありません。
こころを育む抱っこ
一人で歩けるようになった乳幼児も抱っこが大好きなのはなぜでしょうか。抱っこには、身を守るための本能の他に、もう一つの大きな役割があります。抱っこによるスキンシップ、アイコンタクトは母子相互作用(父子相互作用)を促します。
赤ちゃんからのシグナルにタイミングよく繰り返し応えると、赤ちゃんは養育者に特別な感情(安定した愛着形成)を持ち、自己効力感を身につけていきます。安定した愛着形成により、子どもは親から離れて探索行動を始めますが、初めて出会うものに戸惑い、不安を感じれば、またすぐに親にくっついて落ち着こうとします。
こういった行動は乳幼時期の子どもに見られる、自立へ向けた成長過程です。ですから、たとえ歩けるようになってもおしゃべりができるようになっても、抱っこやスキンシップには心の安全基地としての役割があります。子どもの要求に応えて抱っこやスキンシップをとることは甘やかしにはなりません。
乳幼児期に充分なスキンシップ(オキシトシンの分泌)をとり安心できた子は、より安定した心の土台を形成します。心の土台は「自己肯定感」や「他人への信頼感」を育てることにも繋がり、よりストレスに強い、学習意欲が高い、記憶力がよい、など社会性の高い子どもへと成長していくことができます。ですから、何歳になっても子どもが満足するまで抱っこをして大丈夫です。
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